PD-L1陽性とは?がん治療との関係や治療法をやさしく解説

がん治療において注目されている指標の一つが「PD-L1陽性」です。
免疫チェックポイント阻害剤が有効な治療法として注目されています。一方で、PD-L1の発現レベルが治療方針に影響することも分かっています。さらに、発現の高さによっては治療効果や生存率にも違いが出ます。
本記事では、PD-L1陽性と陰性の違い、治療法の選び方、生存率との関係性をわかりやすく解説します。
目次
1. PD-L1とは?がん免疫との関係
PD-L1(Programmed Death-Ligand 1)は、免疫の働きを制御するたんぱく質です。T細胞の攻撃を抑える役割を担っています。
本来は免疫の過剰反応を防ぐために機能します。しかし、がん細胞がPD-L1を悪用してT細胞の攻撃から逃れることが発見されました。これが、がん細胞の生存と免疫逃避のメカニズムのひとつです。
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2. PD-L1陽性・陰性とは何か?
PD-L1陽性とは、がん細胞がPD-L1を高レベルで発現している状態を指し、免疫療法の効果が期待されます。
一方、PD-L1陰性では発現が少なく、免疫療法単独では効果が限定されることもあります。
判定には「TPS(Tumor Proportion Score)」が用いられます。発現率50%以上は「高発現」とされ、免疫チェックポイント阻害剤が有効となる可能性が高まります。
3. PD-L1陽性ががん治療にもたらすメリット
PD-L1陽性の患者では、免疫療法が有効な場合があります。とくに、免疫チェックポイント阻害剤の効果が多く報告されています。
- ペムブロリズマブ(キイトルーダ)
- ニボルマブ(オプジーボ)
これらの薬剤は、T細胞表面のPD-1に結合してPD-L1/PD-L2からの抑制シグナルを遮断し、抑えられていたT細胞の働きを回復させます。その結果、がん細胞を攻撃しやすい状態になります。
4. PD-L1陽性と生存率の関係性
PD-L1陽性のがん患者では、免疫療法によって生存期間が延びる傾向が報告されています。
たとえば、非小細胞肺がんを対象とした臨床試験では、免疫チェックポイント阻害薬を用いた臨床試験で、従来の化学療法に比べて全生存期間(OS)が有意に延長したと報告されています。
5. PD-L1陽性の具体的な治療アプローチ
患者のPD-L1発現レベルに応じて、以下のような治療方針が検討されます。
- 単剤による免疫療法
PD-L1発現率が高い場合、免疫チェックポイント阻害剤の単独投与で高い効果が期待されます。 - 化学療法との併用
発現率が中程度の患者では、化学療法との併用により治療効果の増強が可能です。 - 免疫療法の併用(例:CTLA-4阻害剤との併用)
複数の免疫機構を標的とすることで、より強力ながん抑制効果を期待できます。 - 個別化医療(遺伝子情報をもとにした治療)
がんの種類や遺伝子変異、患者の全身状態を考慮し、分子標的薬や放射線療法との併用も選択肢となります。
6. まとめ
PD-L1陽性の有無は、がん治療の効果を左右する重要なバイオマーカーです。
陽性であれば免疫チェックポイント阻害剤が奏功する可能性が高まり、生存率向上が期待できます。
一方、PD-L1陰性でも他の治療法との組み合わせにより、十分な効果を得ることが可能です。
がん治療の選択肢を広げるためには、まずPD-L1検査の重要性を理解することが大切です。そして、自分に最適な治療方針を医師と相談しましょう。
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